スタジオギンザの夏合宿 2025/9/3~14

 

スタジオギンザの夏合宿    2025/9/3-14

"Good morning! And in case I don't see ya, good afternoon, good evening, and good night!"
トゥルーマン・ショーの名セリフでご挨拶。

 クリスマス前に本投稿をパチコチ(ゆっくりなタイピング音)しているわけですが、スピーカーから流れるナット・キング・コールの”The Christmas Song”が窓越しにしか聞こえない今年もホームアローンの木村です(キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンより)。大学3年生の2004年生まれなのですが、この年に誕生した映画で僕が好きなのを紹介させてもらうと 

ターミナル

誰も知らない 

下妻物語 

カンフーハッスル 

映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ夕陽のカスカベボーイズ 

ハウルの動く城 

どの作品もいつどんな時に見たのかを思い出すことができる大切な存在です。

今回の投稿はそんな「あの頃」を振り返れるものにできたらと思っています。
SNS担当の同期は優しいので本稿が遅れていることやこんな個人的な内容についても許してくれるでしょう。

さて、本で言う”帯”の部分?ができまして、ようやく夏合宿の内容に入ろうと思います。
せっかくなので物語風に 起 承 転 結 に分けてみます。テンっと転ぶところがあるので。。。


起 

僕ら4人は12日間をかけて室堂を起点に剱から立山を巡り、薬師、黒部五郎を経て槍へ向かいます。槍を踏んだのち、燕から中房温泉に下山するというワクワクしちゃうコースです。

晴れてればね、

今回の敵は「お天気」と「日程」でした。12日間もあってたくさんの山に登れるのに7日間も雨。
日程がカツカツで雨でも行くしかなった。教育学部の夏は忙しいらしい。学校の先生って子供達と同じように夏休みあるのかな?そうだったらめっちゃいいな

予定していた行程図。笠ヶ岳ピストンはカットしました。  

「スタジオギンザの夏合宿」というタイトルですが、映画紹介にもあるスタジオジブリからきてます。僕が最初に見た映画(古い記憶)は多分「天空の城ラピュタ」。幼稚園時代だったかな。山に登るようになったのもジブリの世界のような景色に飛び込みたいから。ワンゲルの部室で寝るようになったのはある先輩とジブリの話で夜が更けたからだっけ?、、、 
とにかく、ジブリを夏合宿の要素にしたかったので、表銀座/裏銀座と呼ばれる山域を選びました。さらに言うと2年前の「国連合宿」のリベンジです。「いつか」が来ました!(2023年の過去ブログより)


合宿のしおり:三俣山荘にて

 キャストはこちら。(※本名ではありません)
トンボ:1年生の力持ち

パズー:2年生の通称「顔ダケ」

サツキ:2年生の穏やかで優しく、逞しい山ガー

僕:今年はカメラマ

 

承  

1日目:5時間行程
同期に見送られ、天気の芳しくない長い旅に思いを馳せる初日。
この日は室堂から一ノ越山荘へデポ。その後、雷鳥沢を越えて剱沢キャンプ場へ向かいます。

扇沢駅にて:絶対いらない差し入れと写真撮影
三角停止板に打ち上げ花火、ヘリウムガスは流石にね、

ガスガスの黒部湖へ
さっそく、小雨に遭いましたが
千と千尋のトンネルを抜ける時みたいでテンションが上がるカメラマン

雷鳥沢からの急登はいい汗を掻くことができます。これからその汗が濃縮されていくんですけどね、、、急登を終えた後の梅干しは最高!パズーはなんでも持ってるね。(パズーの持参品)

梅干しは好評で買い足すこと

テント場に着いて見える剱。明日あそこ登れちゃうんだ!
ラピュタのパズーが雲の向こうを語るシーン、あの気持ちが分かる眺めでした。

出迎えてくれた剱岳:行ったるぞぉ


「?」:テント場からサツキが発見
某テーマパークで隠れなんちゃらを見つける気分ってこんな感じなんだろうか?

2日目:14時間行程

今日は剱に行ってから立山も巡って一ノ越山荘から雷鳥沢キャンプ場に向かうというハードスケジュール。台風とキャストの日程、お金の節約からこのようなルートになったが、歩荷でこれは二度とやりたくない。

剱ピストンは最高!早起きしたから独占できたし、何より晴れてる!

剱岳:とった

剱から見た立

けれど、ここからは急降下。テント場までは天気良かったのに、、、立山に向かうとどんどん視界は白くなり、雨が降り始めます。そんな中、トンボは「ピーク取ってきていいですか?」と楽しそうに駆けていて、メンタルの敗北を感じることに。

メンタルでいうとパズーもすごかったな。この日の行程、パズーは立山はカットで雷鳥沢に降りると勘違いしていたらしい。なので立山を目指した途端、歩幅は見る見る小さくなり、カメラマンには諦めを宣言する選手が写っていた。それでも弱音は吐かずに歩き、なんならトンボがピークハンターをしている間にトンボのザックから預けていた荷物を回収するプライドも見せてくれた。本当によく頑張ったと思う。

今まで体力が全てを解決するという教えに従っていたけど体力はメンタルの強さが伴わないと使い物にならないんだなって気付かされた「本気出せばテストの点取れるもん」みたいな、、、



3日目:2時間行程

ほぼ沈。明日の日程を少しでも楽にするために雷鳥沢から一ノ越山荘へ。もうエンマ台からの景色は飽きました(3回目)。しかし室堂には観光ガールがいます。トンボと僕は彼女達に会えなくなることが残念で仕方ありませんでした。

パズーはそんなことどうでもいいらしく(なんでだ?)、初めての小屋泊にわくわくしていました。正直僕もです。いや、多分みんなも。このタイミングの小屋泊はデカかったです。びしょ濡れになっていた服や靴を乾燥できるし、布団で眠れるなんて幸せ!

今日のエッセンの担当はパズー。スタギンに合わせてラピュタの冒頭シーンの残業スープを作ってくれました。
これがめちゃめちゃ美味しくて感激。

「肉だんご、2つ入れて」

この日を表すジブリ曲はユーミンの「やさしさに包まれたなら」。山荘のオーナーさんは広い部屋を用意してくれて、食堂の一角を貸切に。近くに座っていたおっちゃん達は韓国海苔をくれて、合宿の話を聞いてくれました。美味しいエッセンを食べて布団に包まれたなら、、、

身体中がニヤつく瞬

4日目:11時間行程

ハードスケジュール再来。今日は一ノ越山荘から五色ヶ原山荘を越えてスゴ乗越小屋へ。気持ちのいい晴れが訪れてくれたのですが、急なアップダウンの連続にたくさんの汗を流すことになりました。

僕はその前にちょこっとの涙を流すことになります。
山荘を2:30に出発し、ナイトハイク!「龍王岳に行っても真っ暗だから」とカットしたのですが、その分岐から見えたムーンロート(朝焼けがモルゲンロートなら)。これから向かう先が眩しい月明かりに照らされて、「あと1週間くらいか、無事にこの山々を抜けて合宿が成功したらすごいよな」と独り言。妄想だけで感動できて目から汗。

そうそう、こんなぶれ具合

時が過ぎ、五色ヶ原山荘に到着!
なんて素敵な場所、通り過ぎるのはもったいないので長めの休憩

奥に槍が見える

テント干しとこう

雷鳥!!

ただし、長居は危険
「大山行」という別の夏合宿が語ってくれるでしょう。

この日のMVPはサツキ。一ノ越で回収したデポのほとんどを持っていた、、、気づいたのはスゴ乗越小屋に着いてから。パズーとトンボより重かった笑。

小屋のコーラを一瞬で飲み干し、テント場でお休み
かっけぇ

5日目:11時間行程

トンボとしばしのお別れをする日。(合宿期間中に授業があるなんて、)
薬師岳を越えて太郎平に行き、(3人はここで小屋泊)北ノ俣岳でお別れ。
トンボはその後、飛越トンネルまで下山。
めちゃめちゃきついやん。
なのに先輩3人は「地上いいなぁ」「温泉入るんでしょ?」「女の子に会えんの羨ましっ」と意地悪をしまくる。

エスコート隊のお迎え!in北ノ俣岳

そんなトンボを救うのはエスコート隊。天気が悪い中、梨を持って来てくれた!トンボは久々に同期に会えてとっても嬉しそう。「授業頑張ってね」「たくさん歩荷して戻ってこいよ(鬼)」

最後まで意地悪をした3人組は次の日きちんと報いを受けます。

夕飯は無印のバターチキンカレー

悔しいけど殿堂入り

6日目:11時間行程

太郎平から黒部五郎岳を経て三俣山荘へ。
出発早々に雨。報いが来たのだ。
パズーの日記を拝借する。

今日以上に小屋から出たくないと思った日はなかっただろう。あと 1.2 時間もすればやつはこの地にやってくる。数日前に我々が苦しめられた雨雲が。なんとも無念だが前日から用意していたお茶漬けをさっと食べ、逃げるように北ノ俣を目指す。しかしやつもそう甘くはなく、一本目から本気を出してきた。トンボが下山した今、この状況を楽しいなんて言うやつは誰一人としていなかった。絶望の雨の中で、僕たちを支えるのは、 
「三俣山荘、、」 
なんて素晴らしい響きなのだろう。三俣山荘に行けば僕たちは救われる!半ば極楽浄土にでもすがるかのような気分は、僕たちを突き動かす原動力となる。三俣山荘よ早く来い。黒部五郎小屋で志ば歩みが止まりそうになったこともあったが、何とか三俣山荘にたどり着けた。テントを素早く立て、やることを済ませたらその足で 2 日ぶりのティータイムへ。永遠とも思われる雨の中では、僕の食べたチーズケーキは一瞬で溶ける。最高のひと時であった。 
ただこの時の僕たちは知らなかった、やつが差し向けた魔の手は既に僕たちの足を蝕んでいたことに、、

この日のパズーは本当にキツそうだった。サツキに三俣山荘の素晴らしさを説かれ、一筋の道しか見えていない彼はパズーとは程遠く、まるでカオナシだった。

打って変わって僕はというと、「国連合宿」で1本の電話を受けたあの場所を越えることができてとっても嬉しい。

黒部五郎岳まであと1〜2本の地点
こっから折立まで戻ったの懐かしい

「笑え!」と指示したけど、自分でも厳しかった

良かった、顔を取り戻したみたい

元気になったパズーが作ってくれた!
ポニョと王蟲

7日目:12時間行程

この日は三俣山荘から赤牛岳へのピストン!
同期から「黒部源流碑経由は登山道が小川みたいになってるよ、」と心配のLINE。
まじか、でももう関係ないな。昨日の雨で登山靴はすでにびしょ濡れ、ずんずこ進むのみ。

こんばんは お月さん

水晶小屋に到着

ビタミンDを作りながら赤牛へ

これまでの道のりを一望できた場所

よし、帰るか。と1本目、パズーの足が停まる。
登山靴を脱がし、靴下をめくるとパズーの足を蝕んでいた正体が判明する。
ひどい靴擦れであった。
雨山行を強行突破し、乾いていない登山靴で赤牛ピストンをしたらそうなるよな、、、
足の痛みを庇いながらの帰り道、その歩き方は矢を打たれたヤックルのようだった。

テント場になんとか戻り、パズーが入念なテーピングをしている中、僕はというと三俣山荘で同期が差し入れにくれた本と同じ本を発見できてとっても嬉しかった。

「老人と海」ーヘミングウェイ

8日目:3時間行程

トンボ帰還の日!新穂高温泉からエスコート隊と一緒に来るトンボと合流するため、三俣山荘から双六小屋へ。久々のゆっくり行程なのでテント場でのんびりと朝を過ごしていると
「発見!」

「大山行」の無くしもの
見つかって良かったぁ

サツキの日記から見える三俣山荘と8日目

この日は行動時間が短いため、朝はゆっくりとスタートすることができた。 個人的に印象的だったのは山小屋の朝、ゆったりと時間が流れているような、キラキラしてみえるような、素敵な雰囲気だった。 
歩いてたどり着いた双六岳で槍が出るのを待ってみるも雲が分厚くてなかなか出てこず。 槍見れたら最高だったな。おじさんに 「雷鳥が3羽いるよ」 と言われても、もはや誰も見る気なし。雷鳥を見慣れすぎた私たち。 
そしてこの日はトンボ復活の日。双六に着いてしばらくすると、新穂高方面からエスコート隊の姿が!合宿中に部員に会うことができて、後半戦のやる気も沸いてきました。夕食後はみんなでお酒を飲んで、わいわいして楽しい夜になりました。 

きらめく朝

久しぶり!(トンボが鬼ほど歩荷してきてくれた)

スイス風グラタン(2年生スペシャル)

ニッコニコ

9日目:沈

風が強過ぎました。エスコート隊の皆様をお見送りしてテントの中で暇つぶし。
午前中は読書や勉強に編み物と、それぞれの好きなことをしました。

昼になると青空が見え始め、テントの外へ。
服を干したり、キャッチボールをして有意義な時間を過ごします。

トンボのキャッチボールは見ていて気持ちがいい

パズー、君はどうしてそんなに面白いんだ?
トンボとサツキにキャッチボールを教えてもらうこととなった

お昼のおやつ
パン生地から!(イースト菌で発酵)余っている食材で3種のピザ(マルゲリータ、照り焼き風、あんこ&ブルーベリー)をクッキング。ジュースはペプシ。サツキが重曹とクエン酸、ペプシの原液で作ってくれた。

ピザを食べてしまったことで我慢の限界に達します。
ジャンキーなものが食いたい泣
地上に着いたら惣菜パーティにしよう!と食べたいものを合宿ノートに書きまくります。



10日目:6時間行程

槍ヶ岳と槍ヶ岳プリンをいただく日!
昨日に比べると風は弱くて、怯えていた西鎌尾根は暗い時間帯に通り過ぎていた。6:30 には山荘に着いて、槍アタックの機会を待つ。今までガスピークだらけの僕らは山荘のお天気情報を睨みつけるが、紙面なので変わるわけもなく、曇りと雨。
「今行かないと天気悪くなってきますね」
雨雲レーダーを分析してくれたトンボの言葉に決心がつく。

歩を進めると灰色が徐々に白くなり

雲の切れ間に入れてもらえた!

「もののけ姫」のラストシーン。
映画だと首をお返しした後、とんでもない風が吹き抜けたっけ、

雲の切れ間が訪れたところで大した景色ではなかった。けれど、近くの山々を見て、ここが崖っぷちなこと、小さい頃から見てきたトンガリ(槍ヶ岳)!、今その上にいるんだ!と感動できた。

プリンタイム!
欲してたコーヒー。覚醒剤?苦くて美味しい!
ワンゲルの殿堂入り名言を出すか、腹を下してみるのか

転  

11日目:7時間行程

ようやく下山モード。そして、最大のアクシデントが訪れる。

槍ヶ岳山荘から東鎌尾根を越えて大天荘を目指します。
その日は雨風の強い朝で出発を遅らせて 6:30 のスタート。いつも通りの順調なペースでしたが、西岳を取ってから雨と風が強まり、大天荘までの登りは激風。山荘に着くと僕以外の3人とも「小屋泊にすべきです。」と提案。僕は前日の天気図や現状から納得がいかず、それを却下。

前日の天気図
風がそんなに強くなるとは思っていなかった。

実際はこんなことに

僕のせいで眠れない長い夜が始まります。
6テンは風をもろに受け、ポールがとんでもない角度に。
こんな状況では眠れないのでテントの天井部分にロープを結び自分の身体に他端のロープを巻き付け、常にテントの中心部分が動かないように全体重をかけて耐え続けました。そうして3人には寝てもらい、「老人と海」に自分を重ねて夜明けを待ちます。

ところが、自然の力はそんなに甘くはありませんでした。

12日目:6時間行程

0時過ぎ、今までよりもさらに強い風が吹き、ポールが身体を押しつぶすほどになります。
曲がる2本のポール、1本を抑えるのに精一杯の僕はポールが折れる音を想像します。しかし、僕の乗る船は一人ではありませんでした。パズーがポールを押し戻すシルエットが見えたのです。合宿前に腕立てしかしてこなかったパズー。登山であんま使わんやろ、と小馬鹿にしていたのですが、まさか活きるとは。

その後もとてつもない風切音や時差の無い雷の光と破裂音に包まれます。竜の巣に呑まれたことは確実でした。
僕とパズーは夜明けまでポールを抑え続けます。
フライのジッパーが壊れ、ボロボロになっていくテントの中で、お茶漬けの素をポリポリ食べながら
「きっとうまくいくよ」と願う。彼の恋に対して。

夜明け、外の明るさがテントの破れを知らせます。

後日、テントをチェックすると数十箇所を超える破れがありました。

今年買ったばかりの新品テント、、、

キャストの方々「小屋泊でしたよ〜」
本当に申し訳ない。。。
最終日にしてやらかしてしまった。



結 

最後の行程は大天荘から燕山荘を経て中房温泉へ

最終日の歩き始めは昨日のことで反省ばかり。
しかし、合宿全体を振り返りと、「この12日間よく乗り越えたじゃん!」と気づく。
天気に恵まれず真っ暗な時間に歩き出しても眺望がないピーク。後半には行動食が不足したり、靴擦れに苦しめられた。
それでも、今こうして最終日を迎えている。

長期縦走というロマン
こだわり抜いたエッセンや動画撮影
(触れてませんでしたが、毎日ジブリネタ動画を撮ってました。)
差し入れを余すことなく使う使命感
山があって仲間がいたから、歩き続けられた。

12日間で移動した距離は100kmを超え、累積標高差は上りも下りも10000mを超えたらしい。
手に入れたのものは風呂キャン2週目の身体とジャンキーな物が食べたい空腹な胃袋。
そして「あの夏の思い出」。
失ったものは新品テントに携帯とスピーカー。(悪天候による水没故障)

部室で打ち上げ
9日目に作った買い出しリスト通り

最後に、車出しをしてくださった方々とエスコート隊の方々、常に見守り支えてくれた遭対の先輩方に感謝を申し上げます。ありがとうございました!



あとがき 

自分よがりなブログになってしまいすみません。気づいたら報告書みたいに字が増えてしまいました。
ここはワンゲルを引退した後に手軽に思い出を掘り起こせるいい場所なので。

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