BULLS合宿 剱岳結成 2024/8/27,28
どうも、23の小林です。
前回のBULLS合宿五竜・唐松岳結成に引き続き、剱岳結成についてもブログを書こうと思います。(下)です。
今回の行程は、富山県は上市町に位置する登山拠点、馬場島から早月尾根をひたすら登って早月小屋/伝蔵小屋(以下、早月小屋)に一泊したのちに、翌朝早くから剱岳へアタックしてその日のうちに馬場島まで一気に下るというものです。ではでは始まり始まり。
AM5時。有名な石碑の前で記念撮影をしてから出発します。「試練と憧れ」。剱岳に魅了された先人たち、そして今ここに立っている我々、そのどちらの心にも共通して響く言葉に思えます。この石碑は地元の上市ライオンズクラブという組織が建立したもので、剱岳で遭難し命を落とした人たちへの慰霊の気持ちも込められているそうです。この他にも馬場島早月尾根登山口には、剱岳鎮魂の社(←つるぎだけしずたまのやしろ、と読むそうです。)や観音様などがあります。それぞれに刻まれている言葉は、製作者が自分の気持ちを最も高い純度で形にしようと考えに考えてやっとの思いで辿り着いたものなのでしょうね。非常に気が引き締まりました。よし、がんばるぞ。
登山口から今日の宿泊地である早月小屋まではおよそ1500mアップ、さらにこの早月尾根は北アルプス三大急登に数えられるだけあって、登っても登っても急登が続きます。急登は気合いでなんとかなりますが、暑さもセットだとかなりしんどいです。汗は止まらず、一部メンバーの顔やザックの背面からは湯気まで出ていました。
全身汗だくになりながらなんとか登山口から5時間ほどで早月小屋に到着。天気図作成やエッセン準備開始の16時まではまだまだ時間があります。「ワンゲルではテント場でカードゲームしたりみんなで喋ったりするなど、行動中以外でも楽しい時間を過ごします。」こんな説明が新歓ガイダンスでされていた気がしますが、実際はこう。
(綺麗な回復体位)
そして、こう。
(窒息してそうなくらい完璧なうつ伏せ)
16時になってしまいました。最悪です。眠い目をこすりながら、そして寝起きで若干不機嫌になりながらも、皆それぞれの作業をこなしていきます。今日のエッセンはタコライス。
おいちい!
翌日の準備と寝る準備をある程度済ませたところで、夕日を見に小屋のすぐそばにある小ピーク(丸山)へ行きました。
そこにはきれいな雲海が一面に広がっていました。売地になったマリオの7面みたいです。開けた広野から見える地平線や砂浜からぼーっと眺める水平線もいいですが、こうした雲海と空の境目は格別に素敵ですね。それも朝と夕方だと特に「おぉぉっ....」と、思わず息を呑んでしまいます。近くにいた方によると、線で囲んだこの部分は能登半島だそうです。
ですが、我々のパーティーには「理解」という行為が苦手なメンバーが若干数おり、その人らはその上に浮かぶ雲を能登半島だと勘違いしてしまい、その雲の奥を夕日が通過した際に「あれ!?え!?能登半島の下から(夕日が)また出てきた!?」「この夕日えぐい」などと無茶苦茶なことを言っておりました。地球平面説はまだまだ捨てたもんじゃないな、みたいなことも言っていたような。理解に苦しむ。本当に苦しい。今日の行程のご褒美のような日の入りを見られたところで、テン場に戻って就寝。おやすみ。
翌AM2時、起床。5人して夜間頻尿で目覚めたわけじゃありませんよ。早出早着は夏山の基本です。今日の行程時間は約10時間で、夕方から天気が崩れる予報でもあったため、朝ご飯を食べてすぐさま出発します。いよいよ剱岳アタックです。からだがつよくなるおくすりものみました。
にがい!
遠くにはぼんやりと赤く染まり始めた空を背に堂々とそびえる岩稜帯のシルエット、頭上を見上げると暗い空に散らばるきれいな星々。使い古された表現だとは思いますが、「夜と朝の狭間」のこの時間はあまりにも素敵ですね。
さて、標高2800m付近の崩落地を皮切りに険しい岩場や鎖場が続きます。早月尾根ルートの核心部です。ですが、早月小屋〜剱岳山頂間の登山道については事前に入念に下調べをしていたため、ある程度心に余裕を持って通行することができました。(=岩場ばかりに気を取られていて、馬場島〜早月小屋間の急登にはすっかり油断していました笑。) カニのハサミや滑りやすい岩、脆い箇所などの危険性の高い部分はいくつかありましたが、集中していれば大丈夫だと思います。落石がとても怖いですが。
崩落箇所
カニのハサミ
岩場を登り続け、早月小屋から3時間ほどでやっと剱岳山頂に到着!!!喜びを噛みしめながら記念撮影をします。
これはBULLSポージング!4人は手元で済ましているのですが、なんか1人だけ全身運動している人がいますな。これ、BULLSの「B」です。担当者のKによると、シャッターを切ってくれるタイミングと上手く合わせるのもそうだし、そもそもこの形まで体を持っていってキープするのが中々ハードなようです。僕は隣の「U」担当なのですが、確かに「ふんっ!」という声が隣から何度か聞こえ、その度にどつかれました。写真をよく見てください。どつかれてます。
その後はのんびりと雄大な景色を眺めます。いくら見ても見飽きませんね、そんな景色です。せっかくここまで登ってきたので色々写真も撮ってみます。
女子2人。この前の五竜唐松岳結成に続けて、今回もお揃いの早月小屋のTシャツを買うなど、外面も内面もどんどん似てきた2人。そろそろお互いに同族嫌悪のフェーズに入って、喧嘩、さらに最悪の場合には殺し合いにまで発展するのではないかと危惧する声もあがっているようです。それくらい似ています。
自分らに残された To Do項目「馬場島まで2300mダウンする」に心の中で絶句し、山行を放棄したくなりましたが、どうしようもないので下山します。「自分の体力がその山に合っているか判断する時には、登りだけでなく下りのことも含めて考える必要がある」や「下りの方が事故が多く、技術が求められる」といった言葉は本当に的確なものだと再認識しました。そんなことを考えながら丁寧に下っていきます。
少し話を脱線させますね。剱岳といえば、1907年(明治40年)に日本陸軍陸地測量部一行が三角点設置のために登頂した際に、平安朝時代のものと思われる錫杖頭(しゃくじょうとう)や鉄剣、焚火の跡を発見した、という話が有名ですね。彼らは一体どこから登頂したのかも気になりますが、先人たち、そして彼らの信仰において劔岳はどんな存在だったのかも気になるところです。冒頭の石碑の話と重なりますが、そうした先人たちに思いを馳せるのは面白い(interesting)ですね。日本古来の精神が残ると言われている山岳信仰。「この山は山岳信仰が盛んだったらしい」だとか(御嶽山に登る際などに)「霊山なのか、なんか怖いな」などと浅く理解するのではなく、せっかくならもう少し知ろうとしてもいいかもしれないなと思いました。それにしても、Google検索しているときに出てきたこの検索候補が気になりました。
Google先生って「やって」とか「ぶっ」とか使うんですね。なんだろう、この気持ち。検索エンジンに対して蛙化してしまった気がします、それも激しめの。
ではでは、話を山行に戻します。ムシムシした暑さと終わりの見えない樹林帯で、身も心も
ボロボロになりかけていました。無言で下ったらメンタルブレイクしかねないと思ったので、積極的に喋りながら下りました。疲労のために1年のFから普段に増して横暴な相槌を繰り出されて何度も何度も会話を破壊されてしまいましたが...。この他にも色々書きたいことはあるのですが、身内ネタが過ぎるのでやめておきますね。
(みんなゾンビみたいな顔をしています。)
あれ!?この景色!!見覚えあるぞ!!
うぉぉぉぉ!!馬場島!!馬場島!!馬場島!!馬場島!!うぉぉぉぉ!!
山頂から下ること7時間(休憩含む)、やっと馬場島まで戻ってきました。とんでもない量の達成感が体中を駆け巡ります。急性達成感中毒で意識を持ってかれそうでした。
もちろん自分の目に絶え間なく映り込む自然の姿はとても壮大で美しく素晴らしいのですが、下山した時や縦走中にふと後ろの山並みを振り返って「自分はここを歩いてきたんだ」と達成感に耽るのも山登りの大きな醍醐味だと個人的に思います。ワンゲルに入ろうか迷っているちびっ子たちにはそんなことを伝えたいですね、ワンゲルで登る山にあるのは景色だけじゃないよと。
おわりに
ブログを書く機会を久々にもらえたのがなんだか嬉しくて、毎日時間を見つけてあれこれ書いていたらこんなに長くなってしまいました...。(上)から(下)まで読んで下さった方、本当にありがとうございます。
我々BULLS合宿もいよいよ入山です。部の核心である安全登山の徹底はもちろんですが、楽しいことやら面白いことを置き去りにせずに合宿を目一杯駆け抜けたいと思います。行くぞ!!!!!
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